バックボーンを生かしたOOH事業の展開
京王エージェンシーは、京王グループの一員として、京王電鉄の車両や駅といった鉄道広告の管理・運営や開発業務、広告物制作や一般企業向けの広告業務を長年にわたり手がけてきた。近年は屋外DOOH事業に力点を置き、渋谷メガウォールのような媒体開発を進めている。
渋谷メガウォールは、縦型ビジョンとしては渋谷地区最大級となる縦13m×横6m(78㎡)の高精細LEDビジョンで、3.9mmピッチを採用している。
『鉄道や駅の広告事業で培った管理運営業務のノウハウを、今後はより広い範囲に広げていこうと考えています』。
デジタルサイネージの領域では、屋外に限らず車両内にも多くの面数が設置されている。同社でも車両ビジョン向けのオリジナル番組放映や、沿線に拠点を構える企業とのコラボレーションも多数手がけてきた。こうしたコンテンツ制作や放映の知見もまた、今後の広告モデル開発に生かす構えだ。
さらに、2025年にリリースした「マチカドキネマ」企画では、渋谷メガウォールでショートムービーを放映。ショートフィルムVODサービス「SAMANSA」と提携し、ショートフィルムの上映とあわせたスポンサー番組特別枠を展開している。
『渋谷の街が映画館に変わることでインパクトと話題を創出し、渋谷の街における企業のプレゼンス発揮に寄与したいです』。
DIG SHIBUYA 2026を契機としたビジョンの価値向上
屋外ビジョンを媒体とした広告モデルの開発に注力する中で、2026年はDIG SHIBUYA 2026への参画を決めた。この経緯について志賀氏は次のように語る。
『渋谷メガウォールは、文化村の入り口に設置されています。このことから、デジタルアートとの相性はとても良いと考えました。さらにアート作品の力を借りることで、より多くの人、あるいは今までビジョンに目を向けなかった方の視線も集めることができる。結果として、ビジョン自体の価値を高めることに繋がります』。
また志賀氏は、縦型ビジョンの活用可能性についても言及した。
『縦型のビジョンをいかに使うかという点については、当社としても伸び代を感じていました。何か特徴的なものを流すことがその足掛かりに成り得るという期待もありました。すなわち、DIG SHIBUYA 2026は格好の機会。今回のイベントを通して、地域の皆様とも関係を持ち、生活者との接点に広告があることを自然な形で見せていければ』。
文化村という立地が持つ文脈と、縦型ビジョンの独自性——この2つを掛け合わせることで、渋谷メガウォールは単なる広告媒体を超えた存在へと踏み出そうとしている。京王エージェンシーでは、3Dコンテンツ制作とワークショップをセットにした新たな企画についても、今年度中のローンチを模索しているという。コンテンツに同社ならではの付加価値を持たせながら、将来的には渋谷以外の地区にも屋外広告媒体を展開する構えだ。